安部氏が通勤途中に通りかかった保育園のような施設の窓に、子供たちが描いた絵が張り出されていた。鮮やかな色彩や自由な発想が溢れる絵の数々に目を引かれたが、その中でも特に印象に残ったのは一枚のワニの絵だった。
ワニの特徴を大胆に捉えつつも、どこか愛らしさが感じられるその絵は、他の絵とは一線を画していた。思わず立ち止まりじっくり見たい気持ちになったが、不審に思われることを避けるため、安部氏はちらと見て通り過ぎたという。
予期せず出会った一枚の絵が、安部氏の通勤路に小さな彩りを添えた出来事であった。